排路

噂の娘の排路のレビュー・感想・評価

噂の娘(1935年製作の映画)
5.0
それまで予感はいたる所で感じていたものの、妹が自分ののお見合い相手とデートをしているのを姉がみたのを皮切りに(画面内の上下関係がおかしなことになっている)、主要な作中人物全員がいつでもこちら側に転落することが可能な状況が生まれ(空間把握を犠牲にして、小津のように形象的な連続性を強調する違和感しかない妹と姉の切り返し)かつ誰がどのタイミングで転落するか完全に成瀬の制御するところとなっている点。

その次に、酒屋を傾かせた張本人である祖父が語り手として、作中人物を物語る権利を与えられてる点。実際に主人の不正に最初に気づくのは彼なのだ…。一本道を挟んだ向かいにある床屋という架空の聖域(1番成瀬たちのいる場所に近い)に立ち入り、物事の顛末を見ることができる。噂話をしながら…。

主要な作中人物がはじめて登場する冒頭のあの感じはなんていったらいいんだろう…。キャスティングに関して、父と娘に全く見えないのは、あえてそうなのか?
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