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哀しみのトリスターナのadeamのレビュー・感想・評価

哀しみのトリスターナ(1970年製作の映画)
3.0
ブニュエルが再びカトリーヌ・ドヌーヴを起用して描いた支配したい男と独立したい女の愛憎劇。
貴族でありながら家具や食器を売りに出して暮らす老紳士が養子として育てた娘を事実上の妻として扱うも、他の男に恋をした娘は父としても夫としても老紳士を拒絶する物語です。
血の繋がりがないとはいえ、娘を女として愛することに躊躇のない感覚に驚かされますが、その点を除けば1時間は平凡なメロドラマのようで退屈でした。
しかし終盤の30分で2人に距離が生まれてからの展開が秀逸で、最早愛というよりも食器を買い戻すのと同じ類の度を超えた執着と、有無を言わせない度を超えた憎しみが交錯する様はスリリングでした。
ただ手術を迫られる場面で執着心が暴走する展開を期待したのですが、そうとはならず少し物足りなかったです。
憎しみの方がフォーカスされていって行き着く結末は素晴らしかっただけに、後半にもっと比重を置いた構成で観てみたかったです。
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