安堵霊タラコフスキー

サスペリア PART2/紅い深淵の安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

サスペリア PART2/紅い深淵(1975年製作の映画)
4.6
サスペリアシリーズ関係無いのにサスペリアの呼称はあまり使いたくない派の人間だけど、それはさておきベルトルッチがサスペンスを撮ったらこうなるといった趣の芸術性とカメラワークにはやはり惚れ惚れする。

主観視点の不気味さにその主観視点含めた長回しの多さと、ただのサスペンス映画とは一線を画した映像センスはそれ自体に魅力があり、多少演技に過剰なところがあってもそれが些細なことと思えるくらい素晴らしい映像芸術となっていた。

なんで一般人が殺害現場に入れるんだよとか歓びの毒牙みたく警察でもないのに主人公しゃしゃり出すぎだろとか、内容にはツッコミ所もそこそこあったけれども、そういう場面でも相変わらず魅せ方は上手いし、そんなツッコミ所の捜査シーンを続けて少し油断させたタイミングでショッキングかつスリリングなシーンを挿入してくるのも憎らしかった。

プログレ的なゴブリンの音楽もまた印象的だが、特にあの不安感を掻き立てて堪らない子供の歌を作るセンスには脱帽。

ラストの種明かしも鮮やかで、歓びの毒牙同様に序盤を思わず確認してしまったけど、確かにしっかり種明かしシーン同様の映像になっていて驚きを禁じ得なかった。(こういう共通点の多さとしても、この作品はむしろサスペリア2というより歓びの毒牙2と言った方がしっくりくるように思う)

色々穴はある作品だったけれど、それ以上に魅力溢れる作品で、日本でサスペリアが公開されてヒットするまで紹介されなかったのが不思議に思えるくらいだった。