SANKOU

スリーパーズのSANKOUのネタバレレビュー・内容・結末

スリーパーズ(1996年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

罪の大きさに子供も大人も関係ないとは思うものの、子供たちには社会復帰するためのチャンスは与えられるべきだと思う。
そしてこの映画で描かれるのは子供たちを更正させることが使命であるはずの少年院の看守たちが、彼らを虐待し性的暴行を加えていたという衝撃的な事実。
自分よりも力の弱い子供たちを暴力で支配しようとする人間は最も卑劣だ。
看守たちに限らず日頃からDVを繰り返す夫や、子供に手を出す愛人の男など、この作品には卑劣な大人の男が多数登場する。
力で人を支配するのは安易な方法に感じるが、支配された方はその屈辱を死ぬまで忘れないし、人間の関係というのは変化していくものだ。
相手が子供だから看守たちは彼らを力で押さえることが出来たが、子供は当然ながら成長していく。心に深い傷を持ったまま強い恨みを抱いて。
かなり際どい内容で、これをどう捉えたらよいのだろうかと色々と迷う作品だった。
確かに子供たちを虐待していた看守のノークスが、復讐のためにジョンとトミーに殺されるのは因果応報だと思った。
しかしジョンとトミーもノークスを殺した罪は背負わなければいけない。
ところが同じく少年院で虐待を受けた二人の親友でもあったシェイクスとマイケルは彼らを無実にするために奔走する。
かつて街を牛耳っていたキング・ベニーの手助けもあり、裁判はマイケルたちの思うように進んでいく。
後は子供の頃から彼らを良く知っているボビー神父が偽の証言をしてくれれば全て上手くいく。
神父は神に誓った場で嘘をつくことが出来ない。シェイクスは誰にも話せなかった少年院での虐待の一部始終をボビーに打ち明け、全ての判断を彼に委ねる。
子供に性的暴行を加えるという行為は聖職者にとっては耐え難い非道に感じたことだろう。
結果的にボビーは法廷で偽の証言をする。彼の中では殺人を犯した人間を無実にするという罪よりも、虐待を行った看守たちを断罪することの方が勝ったのだ。
ノークス以外の看守たちも悲惨な末路を辿ることになる。彼らも罪の大きさによってその報いを受けたことになる。
無実を勝ち取ったマイケル、シェイクス、ジョン、トミーは自分たちをデュマの三銃士になぞらえ盛大に祝い合う。
ジョンとトミーがその後立て続けに悲惨な殺され方をするのも因果応報というものなのだろうか。
完全に実話だと思っていたが、最後のテロップで事実なのかどうか疑わしいとも思ってしまい、何ともモヤモヤとした後味の悪い作品になってしまった。
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