モールス

スリーパーズのモールスのレビュー・感想・評価

スリーパーズ(1996年製作の映画)
4.0
4人の少年達が自ら起こした事故により、少年院に収監されます。その少年院で看守から受けた暴力や性的虐待により4人は心に傷を背負ったまま大人になったわけですが…。彼らの一番の理解者はロバート・デ・ニーロ演じるボビー神父で、物語の後半、神父が最大の見せ場を作ることになるのです。
少年院に収監されたのは、4人の少年が軽いいたずらから通りがかりの男性に瀕死の重傷を負わせたからです。その少年院には看守ノークス(ケビン・ ベーコン)が待ち構えており、少年達を痛め付けるのです。屈辱ばかりでなく、そこで知り合った黒人の友が命を落とす悲劇もありました。
約10年後、4人のうちの2人は殺人なんか朝飯前の大悪党になっておりました。ある日バーで偶然ノークスを見かけると、2人に積年の恨みが甦ります。そしてノークスを、その場で殺してしまうのでした。
ノークスの殺人事件は2人が犯人かどうかの裁判が始まります。ここで、なんと原告側の検事を4人の少年の仲間だったマイケル(ブラッド・ピット)が務めることになってたのです。そして被告側の弁護人はアル中のスナイダー(ダスティン・ホフマン)に。最初から裁判はデキレースだったのです。
ストーリーを長々と書きましたが、レビュー冒頭に申し上げた通りにボビー神父の見せ場がやってきます。ノークスを殺した二人の事件当時のアリバイを偽証するかどうか!?聖職者としてのタブーである嘘をつくのかどうか!?
4人の少年達は罪を犯しましたが、人を故意に瀕死にさせる悪意はなかったはずです。少年院の役割はあくまでも更生です。少年達を父親のように可愛がったボビー神父にとって、少年院の出来事は血の涙が流れるようなことだったのでしょう。
本作の原作が事実を元に書かれたらしいのですが、司法局は否定したみたいです。隔離された世界の闇はどこまでも闇です。
救いのない世界があることを見せてくれた作品と思います。
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