大島育宙

らせんの大島育宙のレビュー・感想・評価

らせん(1998年製作の映画)
3.5
この頃の中谷美紀の色気は異常。撮る監督、撮る監督が魅了され過ぎてバランスを崩している感じがして面白い。

同時期のJホラーと比較すると恐怖描写の尺そのものがだいぶ少なく、ジャンルで言うと「スリラー」とカテゴライズするのがよっぽどしっくり来る。『リング』の解説編、B面のような位置付けで、存在価値もちゃんとあり、『リング』と色が被らないようにプロデュースされていると感じる。貞子も舞も、交わっている途中でズゴーンと老婆や骸骨になるようなことも当然なく、ずっと過剰に美しくてエロいのが、物語に沿ったポルノになっていて清々しい。そうだ、ジャンルで言えば「スリラーポルノ」になるか。

・体が切り開かれたまま喋る真田広之
・慌てて窓を破る佐藤浩市
・松重豊と鶴見辰吾の同じセリフ

など笑いながらゾッとできるポイント多数。
何度観ても面白いねーーー。
リングよりも瑞々しくて好きかもしれない。

佐藤浩市と中谷美紀がいきなりキスして求め合う件に時代を感じたが、終わってみれば貞子に犯されていた安藤(佐藤浩市)が、塗りつぶして上書きするように舞(中谷美紀)を求めるのは理に適っている。