【暗く、見つめる】
※今週末、上映時間が7時間という長さの「サタンタンゴ」という作品が公開されます。ハンガリーの名匠タル・ベーラ監督の作品です。彼は、「ニーチェの馬」を最後に映画界をさりましたが、その前に製作された「サタンタンゴ」を含め、様々な賞を受賞しています。そんな訳で、彼の監督作を2作ほど、御紹介します。(とりあえず、多くは語りません)
この作品には、"目"がある。
光があり、目に映る物によっては刺激もつきもの。
だがこの作品には、"心がない"。
とても暗く、まるで街頭のまったく無い夜道をさまよってるようで…。
そして、この作品には暗い顔をした女性を"じっと見つめる"場面がある。
その女性はどちらも冷めきっていて、涙が枯れるほどに"暗い"。
私は思う。この表情はあのラース・フォン・トリアーでも作れない。彼の暗さとはまた別の暗さなのだ。常に人に対して冷めている。
そうだ……これは"世界の情勢"そのものだ……。
出口が見えない紛争、地球温暖化問題、政治家の暴走…。
彼女の表情はまさに、それだった。
そして、私は思った。
今の日本も、もしかしたら彼女たちなのではないかと……。