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炎のランナーのEyesworthのレビュー・感想・評価

炎のランナー(1981年製作の映画)
4.3
【僕は日曜日には走らない】

ヒュー・ハドソン監督が実在のアスリートのパリオリンピックでの実話をモデルに制作したスポーツヒューマン作品。アカデミー作品・脚本・作曲・衣装デザイン賞を受賞した名編。

〈あらすじ〉
ユダヤ青年エイブラハムズは、陸上競技に天性の才能を持っていた。彼の好敵手は、ラグビーでも活躍していたキリスト教徒のリデル。二人は人種の偏見を超えて、深い友情で結ばれていく…。二人の青年が、オリンピックのそれぞれの競技で優勝するまでを、ヴァンゲリスの流麗なメロディに乗せて感動的に描く。

〈所感〉
アカデミー賞を獲る程ではないように感じたが、時代的にこういうのが持て囃されたのだろう。映画としては面白みに欠ける。走行時のスローモーションにも飽きる。序盤の音楽は好き。あまりにも出来杉くんな話のため色々脚色されているのだろうなぁと思ったら実在の出来事ということで驚き。国家の威信よりも自身の信仰を優先して、日曜日の予選に参加しなかったリデルを心から称えたい。私はお寺生まれ仏教育ち坊主の奴はだいたい友達だが、仮に仏の教えに従って絶対にお前はオリンピックの舞台で走ってはいけない!と命じられたとしよう。それでも、私なら名声や利欲を優先して普通に走ると思う。それが自然だろう。しかし、敬虔なクリスチャンであるリデルにとってはどんなことよりも神の教えに従うことだけが絶対優先事項だった。そこに妥協は許されない。そんな彼も家庭内での考え方の相違に悩む。妹からは兄さんは走ることだけに集中して自身の務めをなおざりにしていると責められる始末。だが、リデルからすれば神から与えられたこの韋駄天の足を活かさない方が神の人生に背くというものと主張。確かに与えられたものを粗末にすることを神が望むとは思えない。スピノザ的に言うと、身体の表現は神の変容である。神が姿を変えてリデルを優勝させたのだ。それは彼にとっては必然かもしれないが、予測不能の事態にめげずに方向転換して軌道修正して勲章を得た姿にそこには感銘を受けた。エイブラハムには特に何も感じず。面長で柔道の篠原に似てる。
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