ミシンそば

ひとりぼっちの青春のミシンそばのレビュー・感想・評価

ひとりぼっちの青春(1969年製作の映画)
3.6
TSUTAYAに取り寄せてもらった。円盤プレミア価格付き過ぎやろ!
そして「何を思ってのこの邦題?!」って思う映画でもある。
消費される者と消費する者に分けられた不況時代の物語。

モロにニューシネマ。
映画表現における「より邪悪なもの」を知った今となっては思ったよりもパンチは弱かったが、別に邪悪でないとは思わなかった。
と言うか、ギグ・ヤング演じる司会進行のロッキーが、オスカー受賞しただけあって過去に類を見ないほど邪悪なキャラだった。
邪悪な商業至上主義者。観客もナチュラルに消費する側だから誰も何も、ダンスマラソンの惨状に何も言わず、そして惨状を求める。
ダンスマラソンは20~30年代にはガチで流行っていたらしい…アメリカマジで病んでたな。

さっきも言ったがモロにニューシネマらしい、観終わったあと絶妙に溜飲が下がらない映画。
鬱映画とまではいかなくとも、途中で唐突に数回挟まれるフラッシュバックが、いかにもそうであることを物語る。

スタローンは多分狙っていないだろうけど、この映画に登場するロッキーという邪悪なキャラと同じ名前のキャラによって、この7年後にニューシネマが完全に息の根を止められるのは絶妙な皮肉だと勝手に思っておく。