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眠狂四郎 勝負のodyssのレビュー・感想・評価

眠狂四郎 勝負(1964年製作の映画)
3.5
【老いの一徹】

最近BS録画にて。10年くらい前にも鑑賞したことがあります。

眠狂四郎がふとしたことで老いた武士と知り合うのですが、武士は実は勘定奉行という高い地位にあり、折しも老中・水野忠邦による改革が進められていた時期にあって、貧富の差が拡大することを憂い、高位にある者の奢侈を戒め、庶民への支援を進めようと四苦八苦しているという設定。何となく今のご時世にも通用しそうな話ですね。

たまたま大名に嫁いだ将軍の娘が、夫の若死にで出戻ってきたものの、化粧料として法外な出費をしていたのを勘定奉行が止めさせたため、その恨みを買い、狂四郎も巻き込まれて・・・という展開。

老いの一徹で改革を進める老勘定奉行の加藤嘉がいい。映画では60過ぎに見えますが、このとき51歳。まあ、江戸時代の年寄りといったら40代も後半くらいで(ちょうど40歳が「初老」です)、50代になったら隠居してもおかしくないわけだから、これでいいんでしょう。

この勘定奉行の存在に一本筋が通っているので、全12作ある市川雷蔵主演の「眠狂四郎」シリーズの中でもこの第2作は屈指の出来栄えになっています。

他に柳生但馬守まで登場して狂四郎と御前試合をする。なかなか豪華な筋書きです。

女優では、将軍の高慢な娘役の久保菜穂子、蕎麦屋の娘役の高田美和、訳あって狂四郎を付け狙う藤村志保と三人出てきますが、やはり藤村志保の美貌が際立っていますね。この時代を代表する美人女優だと思う。
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