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ナチュラル・ボーン・キラーズのHIROのレビュー・感想・評価

3.5
52人もの人間を殺害した、史上最悪の殺人カップル・ミッキー(ウディ・ハレルソン)とマロリー(ジュリエット・ルイス)の逃避行を描いたお話。

最悪ですな(´Д` )

これは完全に好き嫌いが分かれる作品。
とにかく暴力、暴力、暴力、たまにセックス、というイカれっぷり。
5分に1回は血が流れてたんじゃないかと思うほど。

演出方法はかなり変わっていて、唐突にアニメが挿入されたり、謎のカットが繰り返し挿入されたり、何だかドラッグ漬けにされてラリってる気分でしたよ(~_~;)

ミッキーとマロリーは罪のない人々を無差別に殺しまくってるんですよね。
その生き様はどう考えても感情移入できるはずもなく、それどころか怒りしか込み上げて来ない。
暴力賛歌映画などと言われてるのも分からなくもないです。

ただ、オリバー・ストーン監督作品というだけあって、ただの暴力映画ではないことは確か。
マスコミへの皮肉が込められた作品なんですよね。
何故かマスコミはミッキーとマロリーのことを英雄のように報道する。
犯罪者ではなく罪のない人々を惨殺してるので、この報道の仕方はちょっと意味が分かりませんでした。まぁおそらくオリバー・ストーンの演出上の大げさな展開なんでしょうけど。
でも多分オリバー・ストーンが言いたかったのは、アメリカなどには大量殺人を犯したシリアルキラーというのはたくさんいて、その人達が服役してからインタビューを受けたり本を出したりすることで特定のファンが付いて持ち上げられるのはおかしいんじゃないのかということなんじゃないですかね。
日本でも最近、過去に世の中を騒がせた連続殺人犯が手記を出してましたが、こういう風に社会的制裁を受けることなくマスコミやメディアによって祭り上げられることはあるわけで、こう言った矛盾というのはなかなかなくならないんですよね。

ミッキーとマロリーは過去に親からの虐待を受けて育って来た。もちろんそれが殺人を犯す正当な理由にはならないけど、なんでもかんでもストーリー性を付けて報道するメディアはやっぱりおかしい。
マロリーの凄惨な家族背景をシットコム調で面白おかしく描いていましたが、やっぱり笑えないわけですよ。

そして出演者達は全員イカれてました。
暴力刑事ジャック(トム・サイズモア)やおかしな刑務所所長ドワイト(トミー・リー・ジョーンズ)、自己中心的で名声を求める狂気に満ちたTVキャスター・ウェイン(ロバート・ダウニー・Jr)など、どれも俗物に描かれていて本当に社会のクズでしたね。

終盤の血みどろの抗争は圧巻。
暴力と暴力が交差すると、当たり前だけどそこには血しか流れないということが痛いほど分かりましたよ。
あと、ミッキーとマロリーのウェインへのある行動は正直意味不明でした。
ここまで理不尽で気持ちの悪いラストはなかなかないですな。

しきりに2人は「ミッキーとマロリーがやったと警察に言え!」と言い残していたけど、これって逃げたいのか捕まりたいのかよく分からないんですよね。破壊願望でもあるんでしょうか⁇
やっぱり2人には感情移入できないし、嫌悪感を抱かざるを得ません。
だから少なくとも僕は犯罪者の気持ちなど到底理解できないということなので、それなりにはマシな人間なのかもしれないと思いちょっと安心したりもしました(*^_^*)



2015-73
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