Toineの感想文

アンダー・ザ・スキンのToineの感想文のレビュー・感想・評価

アンダー・ザ・スキン(1997年製作の映画)
4.3
【ダークで哀しい喪失と青春】
本当に本当に大好きな映画。名作!
ベリーショートのサマンサ・モートンさんがめちゃめちゃ可愛い♡♡
初めてジャケット写真を見た時に官能作品かと思ってたけど違った。
確かに官能的なシーンは何回もあるけれど…。
配給会社の売り出し方に疑問を感じた。
訳ありな英国式のダークな青春映画でございます。

頭の中にどんな理想を描いても。
現実は時に辛辣で世知辛い。
若くして最愛の人と死別するって言葉にならない感覚だと思います。
周囲の人達からの言葉なんて慰めにならない。
結局は他人ごとだもの。
自力で乗り越えて行かなくてはならない。
そもそも乗り越えられるかも分からない。
それくらい抱え切れない大きな心の傷。

モートンさん演じる主人公アイリスさんが自堕落に性に溺れてしまった理由。
現実と自分の傷付いた心を受け入れられない。
身を引き裂かれるような喪失を埋めるための仮初めの男性たちとの関係。
心をさらけ出せるほど強くないから。
助けて。つらい。って言えないから。
上手く涙を流せないから。
もしまた愛する人と出逢ってしまったらお別れしてしまうのが耐えられない。
深い関係を築くのが怖い。
そんな不器用な彼女が愛おしすぎる。

お母様が大好きだったお花の仕事に携わろうとする終わり方が切なくて最高。
主人公の名前でもあるアイリスの花言葉は「希望」や「良い知らせ」なんですって。
どうか幸せになってほしいな。

FILMARKSさんでは82分と紹介されていますが私が観たディスクでは79分でした。
エンドクレジットを除くと約77分と短くまとめられた尺も素晴らしい作品だと思います。