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東京タワー オカンとボクと、時々、オトンのorimarksのレビュー・感想・評価

3.9
お話はだいたい最初から分かる通り。けれどもどうしても自分の体験や思いと重なってしまって。
コロナ禍の中 昨年亡くなった祖母、国境を越えなければ会えない祖母や両親を思うと、後半は涙が止まらず、ほぼ嗚咽。

迷惑や心配をかけてばかりの私に、どこで何をしていてもいい、ただ健康でいてくれることが親孝行なんだと、とめどない無償の愛を注いでくれる家族に対する思いは、とても言葉にすることができません。

松たか子の演技(病室でのシーンなんか瞬きひとつせず恐怖さえ感じた..)、線細オダギリジョーのピンクファッションなど気になるところは数々ありましたが、
一番観たかった樹木希林さんの演技がやはり素晴らしすぎて... すべてをさらってくれました。

友達ときゃあきゃあふざけるオカン、オトンの前では恋する乙女なオカン、真っ赤なリップでおめかしして上京するオカン... 可愛らしくて誰からも愛されるオカンが、確かに一生懸命生きていたんだと感じさせられて、その分病床に苦しむ姿は思い出したくないくらい、辛かったです。
希林さんの出演作を観る度に毎回感じることですが、その佇まいだけで世界に溶け込む存在感、彼女以外にこの"人"になれる人はいないと確信させる、名女優としかいいようがありません。。希林さんの演技を観るだけでも十分価値がある作品。
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