改名した三島こねこ

トリコロール/青の愛の改名した三島こねこのレビュー・感想・評価

トリコロール/青の愛(1993年製作の映画)
3.4
<概説>

夫と娘を事故で亡くした女は、夫に向けた愛を否応なく追想していく。作曲家だった彼が遺した最後の楽曲は、誰の愛によって完成されるのか。ポーランドの巨匠の遺作となった『トリコロール』三部作第一弾。

<感想>

コリント人への第一の手紙第13節は『愛のむきだし』で知ったのですが、あちらでは本当に一般教養知識なのですね。あまりに印象的な句が囁かれた途端にもしやと飛び起きました。

愛は寛容であり、愛は情深い。
また、ねたむことをしない。
愛は高ぶらない。誇らない。

ううんなるほど。尊ばれるのも納得の名句。

愛は不滅であり、信仰と希望に先立つという希望。

なんと壮大で心に染みるのでしょう。

ただこれはそんな壮大な話ではなくて、いっそ私小説のようなミクロの心情風景を描いていた気がするのですが。締めがそういった風ですと、自分の作品読解が間違っていた気がしてきます。

実際には聖典の理想的人間像を描こうとしたのかな。

ほら。先の文言に続いて「すべてを忍び、すべてを信じ、すべてを望み、すべてを耐える」という句がありましたから。これはそのまま主人公の人間像のようです。

でも、やはり日本人には、なかなか解釈が難しい作品です。