究極の美ことジュリエットビノシュを堪能出来る作品。
トリコロール三部作の一作目。青色は自由の象徴であり、本作のテーマでもあります。ビノシュ演じるジュリーは交通事故で夫と娘を亡くし、悲しみに暮れ自殺を図るも死ねず、亡き夫の同僚の男と一夜を共にした後、家財を全て売り払い、適当なアパートで一人暮らしを始めます。
一見悲劇的な物語のようですが、主人公のジュリーは殆ど泣き叫んだり取り乱したりする事なく、常に淡々と静かに呆けています。街の人々を物憂げに眺めたり、部屋のネズミを隣人の猫に始末させたり、亡き夫の浮気相手に会いに行ってみたり、けっこうアクティブな動きも見せてくれます。悲しみに暮れながらも様々な人々との出逢いを経て、背負う悲しみはそのままに少しずつ自立し、自由に向かっていくような印象を受けました。
音楽がこの映画の大事な要素になっており、作曲家である夫が残した未完の曲がラストに向かって完成に近づいて行きます。楽譜を指でなぞると音楽が流れたり、主人公の感情が揺れる瞬間に画面が暗転し印象的なフレーズが流れたり、面白い工夫が要所要所に垣間見えます。
何はともあれ、ジュリエットビノシュの完璧とも言える美しさを100分丸々楽しめるというのは魅力的だと思います。ほんっとに顔面が圧倒的過ぎます。三部作の残り二作品も追々観ていこうと思います。
