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クリクリのいた夏のkojikojiのレビュー・感想・評価

クリクリのいた夏(1999年製作の映画)
3.8
1999年フランス映画
監督ジャン・ベッケル

第一次世界大戦後のフランスの片田舎で、戦争に傷を持つ復員兵ガリス、ガリスに依存して生きるリトン。不自由ない暮らしだが人付き合いが苦手なアメデ。そんな友人たちが集う沼のほとりでの生活が、リトンの幼い娘クリクリの目を通して語られる。
クリクリの思い出の季節。

沼地は自然の恵みの宝庫。
ガリスとリトン家族の暮らしは、この自然の恵みに支えられている。

すずらんを摘み、花束にして街で売る
沼で鯉を釣って食す
カエルを釣って売る
エスカルゴを取って売る
こんなことで小銭を稼ぐ。どれも楽しそうに。

気が向いたら、昼間っから、取れた魚を家の前で焼いてワインを飲みながら食べる。
誰かが訪ねてたら、友達のように一緒に食べる。
貧しいが、何にも縛られない自由で楽しい暮らしだ。

自然と仲間が増える。
その中には昔ここに住み、今は街で大富豪になったぺぺもいる。

5歳のクリクリがぺぺが連れてきた孫のピエロに恋をする。
このクリクリが可愛い。しかも本当に自然な演技で恋を語る。5歳の女の子が恋を語る。ほんと可愛い。

物語は彼らの生活とそこに集まる人たちの交流をさりげなく描いているのだが、懐かしい昔の思い出が甦るような描き方で、この後の作品「画家と庭師とカンパーニュ」に描く世界に繋がっている。この監督が何をこれから描きたいのかよくわかる気がする。

後半、飲んだくれのリトンが招いて騒動で、逮捕された元ボンシングチャンチャンピオンジョーがリトンをつけ狙う展開がこの映画の山場になる。

派手さはないが、この監督の描く世界はたまらなくいい。良作というのがピッタリの作品。
フランスの片田舎の話なのに、何ら日本の田舎の話と変わらない気持ちになるから不思議だ。
人間の営みは、国は違えど同じということか。


脚本:セバスチャン・ジャブリゾ
キャスト:
・リトン(ジャック・ヴィルレ)
  この俳優さんも脇役でよく見かける。い 
  かにも頼りない田舎のおじさん役にピッ
  タリ。他の作品、何に出ていたか思い出
  せない。
・ガリス(ジャック・ガンブラン)
  この俳優はフィリップ・リオレ監督の  
  「マドモアゼル」の俳優さんだ。
・アメデ(アンドレ・デュソリエ)、
・ぺぺ(ミシェル・セロー)

2023.03.18視聴118
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