ユースケ

第9地区のユースケのネタバレレビュー・内容・結末

第9地区(2009年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

地獄に一番近い街ヨハネスブルグの上空に浮かぶ巨大な宇宙船に閉じ込められたゲロと小便を撒き散らす野蛮なエイリアンを描いた夢も希望もない人類とエイリアンのファーストコンタクト。

難民として隔離され、エビと呼ばれて差別されるエイリアンの姿は、まさに人種隔離政策アパルトヘイトで差別されてきた有色人種そのもの。テーマの落とし込みっぷりはSF映画の鏡。
差別する側から差別される側へシフトする視点とインタビューで構成されたドキュメンタリー・パートから手持ちカメラで撮影されたドラマ・パートへシフトする映像がシンクロする展開は秀逸。現実と虚構の境を曖昧にし、リアルな世界観を作り上げるニュース映像や監視カメラの映像の挿入も絶妙です。

みどころは、自分の事しか考えなかった主人公が、なけなしの勇気を振り絞り、凄まじい破壊力を持つエイリアンの武器を手に必死の反撃を見せるバイオレントなクライマックス。パワードスーツから一斉発射されたミサイルが絡み合いながら白煙の糸引く板野サーカス演出は必見。大破壊が生み出すカタルシスにシビれっぱなし。豚ミサイルもたまりません。