pomechan

第9地区のpomechanのレビュー・感想・評価

第9地区(2009年製作の映画)
4.0
優しいラストシーンが、一番恐ろしい。
未見の方は、グロが平気であれば観てほしい名作。

優れたSFか?人種差別批判か?
どう観ても楽しめる。
以下、一部ネタバレを含みます。

人類側の、異星人への差別的行動はひたすらに胸糞悪い。
オープニングから見せる鈍臭さも手伝って、のっけから主人公の好感度は低い。物語が進めば進むほど、何てクズなんだ!許せない!と思わされる。
この映画の唯一の良心は、エビ(通称クリス)の親子しかいない。そう感じながら、だがその親子が心配でこの世界から目が離せなくなる。
人間の醜さや狂気が多彩に描かれ、絶望的なシーンが続く。謎を残しつつも一応の収束を見せた物語に胸をなで下ろす。

が、ラストシーンの花を捧げる主人公に「あっ、この男は平凡な優しい男だったんだ」と思い出す。
大勢のインタビューの中で、さらりと映されていた妻の言葉。幸せな生活の中での主人公の優しさ。散々胸の内で「クズ!」と罵ってきた主人公と、映画を観ている自分や多くの人間がどれほど違うか?そう思うと、物語中のどんなシーンよりもゾッとする。
見事なラストシーンだと感じました。

全体を通しての感想はそんなところですが、随所に魅力的なシーンが満載。

エビの親子は本当に美しい。
賢く、優しく、あたたかい。

単純に人間は悪で異星人は善!という造りでも無く、クーバスを食い殺す異星人の群れの描写は無茶苦茶恐ろしいところなどもよい。
(ここまで差別の醜悪さを見せ付けて来ていながら、ここに来て「未知への恐怖」「共存不可能」とかそんなことがよぎるシーンを挟むのかよ!という……)
また別シーンだが、異星人の兵器が圧倒的な威力を見せ、そこまでの流れを断絶する瞬間も謎の爽快感が物凄い。

二度観ましたが、二度とも楽しめた。
面白かったです。

キャットフードは麻薬の暗喩なのかな?
貧困・弱者層を麻薬で支配してるって考えると、これも恐ろしい。。。
(昔書いたレビューを記録用に再掲したよ〜〜( ◜ω◝ ))
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