pomechan

マイケル・ムーアの世界侵略のススメのpomechanのレビュー・感想・評価

4.5
マイケル・ムーア監督作品は初めて観た。
アメリカ嫌いの過激な人というイメージがあったので、アメリカへの敬意と信頼に満ちた本作の作風に驚いた。

「アメリカのために他国を侵略する、但し武力行使ではなく最高のアイディアを盗むという手段で!」
お説教ではなくて、真摯なメッセージ。
だけど、くだらないジョークを挟んでくれるので、飲み屋で友達の話を聞くようにして観られる。
アメリカへのメッセージとして作られているけど、日本人が観ても他人事とは思えないんじゃないかな。
皮肉も多いけど、希望や勇気を繋ぐような〆も和んだ。

最近「記者たち」「バイス」を観て、「華氏911」も観たいなと思ってたんだけど見付けられず。。。
ふらりと軽い気持ちで、Amazonで見かけた本作を観た。
(追記…結局華氏911もDVD購入、鑑賞しました。よかった。)
記者たち、バイスを鑑賞後に「世の中で起きていることを知りたい」という気持ちがあっても、同時に「知って何になるの?」「自分には何もできない」という思いも少なからずあった。
それに対しての答えのひとつを示して貰えたような気がして、このタイミングで観られて良かったなぁ。

【侵略する敵】があまりにすばらしく夢のよう。
だけど、実在する国、実在してる制度なんだ。
目から鱗。
いろんな問題に対して、本当はそうだったらいいのに……と心の中で思ってても「そんなこと出来ない」とか「そう上手く行かない」「実現は難しい」と私は思い込んでいる。
そして、そういう人は多いと思う。
それって、誰かの都合がいいように思い込まされてるだけなんじゃない?
「常識」「当たり前」は更新していいものなんだなと改めて実感させてくれた。
もちろん、それには優しさと勇気を持って。
あとノミとハンマーを持って!

「イタリアにももちろん問題はあるが、この侵略の目的は良いところを持ち帰ることだ」と作中で明言してるのも潔い。
この映画のアンチの意見も読みたい!と思ったけど、余り見当たらず。ううむ。

私は観てよかった。
興味がある方にはおすすめです( ◜ω◝ )

【追記】
ムーア氏は反戦派かと思ってるのだけど、スイスの「永世中立」を取り上げなかったのは何でだろう。
ムーア氏について、スイスについて、もう少し勉強してみようと思った。
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