jonajona

「A」のjonajonaのレビュー・感想・評価

「A」(1998年製作の映画)
4.5
やっと見た。
2度のレンタル失敗を経て
ようやく渋谷ツタヤでレンタル。
(配送サービスのディスカスで配送待ちが長すぎてキャンセル…店舗に借りに行くも運悪くDVDが不具合停止…)
渋谷店には何でもあるという噂は間違いなかったようだね…VHSまで置いてて驚いたマジで。

オウム真理教のサリン事件後のドキュメンタリー映像。資料映像としても非常に価値がある。ここまで入り込めてる事がまず凄い。この人のドキュメンタリー観てていつも思うけどなんでここまで入れるんだろう?結構な物言いもしたり皮肉な構成を食ったりする人なのに、魔法使いか?
やや扇情的な音楽の扱いはこの頃から健在でそれだけはちょっとな〜て感じしたがやっと見れたし大満足。

オウム全体ではなく1人の荒木氏という広報担当に密着してるスタイルなので追いやすい。彼のキャラクターもいい、人当たりが良くて論理的で笑顔がかわいい。
場面によっては、完全に公安がロジック抜きの言葉で自らの暴力を隠蔽して、荒木氏が論理的に反論してたりするのでイメージと逆転しててハッとさせられる。てか、公安の暴行場面が捉えられた映像って初めて見た。意外にも、というか普通の人ばかりで。むしろインタビューしにくる当時の記者や公安警察達の態度や言動こそ幼稚さや時代特有の治安の悪さを感じる、という作りになってるのがすごい。

問題の一側面として、彼らが帰る場所がない。そう感じている事なんだろうね。それを誰も見向きもしない。
しかしあの事件の団体だってなった時に、自分の身内がやられてたら冷静に見極められる自信はない。
近所のおばさん達が『あんなことしちゃぁだめよ〜』みたいな強く咎めるでもなく野次馬根性丸出しに彼らに話しかけてる様が印象に刻まれた。一昔前の、90年代の人間の雰囲気を強く感じた。独特な温かさと他人事感がある。
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