まずはその情報量の多さと刺激的な内容にまだまだ頭の整理ができていないというのが正直なところ。そしてオウム真理教について知識のない自分にとっては、このドキュメンタリーだけで何かを知った気にならない事がまずは重要かなと思っている。
地下鉄サリン事件後の教団の様子、ある巨大な集団がガラガラと崩れだす様を描く。しかしながら信者達はそれすらも一種の試練とさえ認識し、修行に打ち込むのだ。質素な食事をし、自分の精神を追い込む。しかしながらその修行を行う建物の外では、マスコミが大勢集まっている。
その中でのマスコミ側の執拗な報道と、信者との決定的な認識の違いが浮き彫りになる。信者にインタビューをしても噛み合わないのだ。それはオウム真理教を信じる彼らと、カルト集団としての切り取り方をしようとするマスコミの埋まらない差である。
また、警察の転び公妨の映像はかなり衝撃的で、こんな事が実際に行われているという事に驚かされる。では警察やマスコミだけが悪いのか、そうではなく、善悪で語りきれない部分があり、そこを知ることこそが重要であるという事なのではないか。
ラストの展開は、ある意味ある青年の今後の決意のような内容にもなっているのが興味深い。家族から離れ、そして信者であり続ける根本にはなにがあるのか、オウム真理教を通して、社会を、日本を切り取る作品である。