pika

容疑者、ホアキン・フェニックスのpikaのレビュー・感想・評価

3.5
前に見始めた時はホアキンの出演作をあまり見ていなかったってのもあってイマイチ面白さがわからずすぐに見るのを止めてしまったんだが、最近ホアキンの出演作をガーッと見てきてすっかりファンになって改めて見るとオープニングからめちゃくちゃ面白かった。
直前にこのフェイク引退宣言前に出演した「トゥー・ラバーズ」を見ていたというのもあってなおさら!笑

本人たち仕掛け人以外は本物の反応であるフェイクドキュメンタリー、いわゆるドッキリであり、この映画を見ている人は既にそれを承知して見ているとは言え、リアルタイムで引退宣言を聞いてホアキンの奇行を見続けフェイクとわかっていてもどこまでが本気でどこまでが演技なのかわからない奇妙な感覚が漂い続ける。
ホアキンの名演と構成そのものの生々しさもあるが、現在既に復帰して引っ張りだこで映画に出まくっていると知っているのに「本気です」と言っても納得できるレベルのリアルさ。
子供の頃からこの世界に入って常に前線で評価を受け続けているホアキン・フェニックスだから成立したところもあるだろうが、それにしてもよくぞ私財も時間も使ってここまでやったなぁと、その情熱と計算し尽くした完成度は圧巻。

全体的に多少冗長的なところはあるけどドキュメンタリーとしての構成演出も面白いし、被写体と内容とバッチリ合っていて飽きなかった。
「もし一つの道で成功した人物が全てを捨てて新たな道へと進んだら」という仮定の問いかけとしても見事で、俳優からラッパーへという特殊な道程でなくても転職とか人生の岐路とか、万人に言える他人事ではない葛藤にフォーカスを当てているところも良い。
pika

pika