shooooo

マイ・プライベート・アイダホのshoooooのレビュー・感想・評価

3.8
2人のアウトサイダーの友情と孤独を描いた青春映画。
いい映画かどうかは分からないけど嫌いになれない、評価の難しい映画でした。

身寄りのないはぐれ者のマイク(リヴァー・フェニックス)は、ストレスを感じると突発的に眠ってしまうナルコレプシーを持病に抱える。一方のスコット(キアヌ・リーブス)は金持ちの市長の息子だが、反抗心から男娼として社会の周縁に生きる。
対照的な男娼の青年2人はマイクの母親を探すため盗んだバイクで旅に出る。

若い頃のキアヌ・リーブスはかっこいい、というより美しい。
場当たり的なストーリーなどはアウトサイダー的生き方の反映といえるし、突発するナルコレプシーはマイクの根なし草的な生き方の耐え難さの表現として悪くない。
そして焚き火のシーンは切なくもどこか美しい。

⚠️以下ネタバレ




スコットの父とアウトサイダーのカリスマであるボブの葬儀が同じ場所で行われる終盤のシーンが印象的。
かたや厳かな葬儀で、かたや馬鹿騒ぎ。社会の下層部に背を向けたスコットは、昔の仲間たちのさざめきを聞きながらなにを感じたのだろうか。上流社会に反発しつつも、マージナルな社会で生き続けるほど賢明さを捨てきれなかった彼は、どこまでいっても孤独を感じ続けるのだろう。

決してハッピーエンドには見えない中での僅かな救いを示す、「捨てる神あらば拾う神あり」というべきラストシーンは好き。
最後にマイクを拾ったのは通りがかりの他人だと思ったけど、実は車の色やボーナストラックから、マイクの兄=父と断定できるらしい。(普通に見てるだけじゃ気付かないよ...)
マイクも家族のもとで安住できることを示唆する、より救いのあるラストでよかったです。
“Have a nice day.”
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