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日本のいちばん長い日のkouのレビュー・感想・評価

日本のいちばん長い日(1967年製作の映画)
4.5
岡本喜八監督の代表作。日本映画史でも重要な一本だと思う。昭和天皇や鈴木内閣の閣僚が日本の降伏を決定した昭和20年8月14日の正午から、8月15日までの24時間を描いている。岡本組といわれる俳優たち、そのほか当時のオールキャストで激動の24時間を描いた作品。

前半は会話劇となっていて、とにかく話の運び方のテンポが良い。的確にナレーションを入れ、会話のやり取りの面白さがある。閣僚ならではのプライドの張り合い、緊張感。キャストたちの本気の演技が迫力のある。くだらない内容で無駄に時間を使い、やっていることは責任の擦り付け合い。会議が全く進まない様子などは見ていて笑えても来る。

後半は怒涛の展開を見せ、血みどろの内容になっていくのもすごい。狂気ともいえる黒沢年男の演技も見事だ。多くの犠牲の上に、より大きな罪を重ねていき、引くに引けない状況となっていくのは現在の政治にも置き換えられるのではないか。

本作で描かれるのは戦争の愚かさだ。ある特定の上層部の決定により多くの人間の血が流れ、崩壊してくさまを描いている。今一度今作を多くの人が見るべきなのではないか、改めてそう思う。
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