takato

日本のいちばん長い日のtakatoのレビュー・感想・評価

日本のいちばん長い日(1967年製作の映画)
4.3



 シンゴジラを受けて、庵野さんが敬愛する喜八監督の代表作ともいえる本作をチェック。ゴジラ以上に恐ろしい、日本帝国の終焉を迎えた人々の群像劇。

 白黒で名作と言われるような作品だと、格調高いけど退屈そうというイメージを持っていられる方もいるかもしれない。しかし、黒澤監督の名作もそうだけど真の傑作に満ちている熱量は時代を超えてビシビシと響いてくる。

 157分という長い作品だが、最後まで物凄い緊張感、サスペンスに満ちていてまるで退屈している暇なぞない。なにより凄いのが、濃密な人間ドラマを支えている俳優力と監督の演出力。国を想う心はみんな同じく猛烈だからこそ巻き起こる矛盾、葛藤。結論はわかっていても、感情移入を上手に行えている良質なサスペンスだと思わずドキドキハラハラさせられてしまう。三船の切腹以外でも、血しぶきが飛ぶ死の恐ろしさは物凄い凄惨さがあって半端ない。志村僑さんが鈴木総理じゃないのか…、と最初は少し残念だったが、小津作品でお馴染みな笠智衆さんが本当に素晴らしかったので驚いた。品があるという言葉はこういう人のためにある!。
takato

takato