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L.A.大捜査線/狼たちの街のatsukiのレビュー・感想・評価

L.A.大捜査線/狼たちの街(1985年製作の映画)
4.0
【生まれた狂気は死ぬことはない…】

シークレット・サービスのリチャード・チャンスは、7年も組んできた相棒のジミー・ハートから加齢を理由とした引退の意思を告げられる。しかし退職を2日後に控えた日、ジミーは以前から追い続けていた通貨偽造団の倉庫に単独で潜入し、ボスのエリック・マスターズに殺されてしまった。復讐を誓ったチャンスは新たな相棒ジョン・ヴコヴィッチと共に捜査を再開、偽札の運び屋を手始めに、エリックの弁護士を辿って彼の行方を追う。やがて、チャンスのなりふり構わぬ強引な捜査は、FBIも巻き込んだ末にようやくエリックの居場所を突き止めるが…

ストーリーは行き過ぎた正義、破天荒な刑事といったよくあるものなのだが、彼を突き動かす動機に正義はなく、ただ個人の恨みが強くなりすぎているのだ。 チャンスの趣味はバンジージャンプ。そこらへんの橋に命綱をつけて好き勝手飛んでいるのだ。つまり、彼はもともといわゆる基地の外の人。そして「仲間」を失った時に生まれる狂気。その狂気は自分を見失わせるのだ。例え相棒であろうが、同僚であろうが、上司であろうが関係ない。更には善を失った正義は、犯罪という悪にまで染まってしまう。つまり、悪を追っていた善が悪以上に悪になってしまったのだ。

殴り合いあり、銃撃戦あり、カーチェイスありのアクション映画としての内容はもちろん、やっぱり狂気に染まっていく主人公とその行く末に起こるラスト。狂気を生んだ代償と決して狂気は永遠に消えることはないと思わされるラストの一言。ひと段落あって生き残るものは何か?したたかさと受け継がれるもの。mark数200にも見たない作品なのでもっと見て欲しい限り。
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