ぽん

幸福(しあわせ)のぽんのレビュー・感想・評価

幸福(しあわせ)(1964年製作の映画)
3.8
アニエス・ヴァルダは本作について「男性社会における夫婦の機能と妻の位置の脆さを描いたもの。夫にとって妻はいくらでも代替可能な付属品であることを示した」と言っているらしい。
な~んだ、観たまんまではないか。

冒頭のヒマワリ、正面にドカンと一つこっちを向いてる。あ、可愛いと思ったら次のカットでは3本のヒマワリがうなだれ気味に映る。で、またデカイ奴。フルフル静かに揺れて笑ってるみたい。次にまた3本。ますますうなだれてる。この繰り返しを観てるうちに、だんだんデカイ奴が一人勝ちしてる無神経で憎たらしい奴に思えてきた。そういうことか。

優雅なクラシックが若干うるさく鳴り響くのも、世の常識たる平穏な家庭とはこういうものぞと、ことさらに強調してるようで。それにしてもフランスのおうちはオシャレなこと。けっこう狭苦しいのに心地良さげ。くすみブルーの壁にときめいてしまう。

冒頭に書いたとおりテーマは観たまんまで、そうだよねとしか言えないのだけど、アジテーションはしてない冷めた口吻が、終盤の衝撃とともにホラー感をにじませる。何も言わないから逆に怖い、みたいな。
60年ものヴィンテージのキレイなホラー、プロヴァンス仕立て?
好きですねー。モラルはいったん置いとこ。
ぽん

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