ぽん

テルマのぽんのレビュー・感想・評価

テルマ(2017年製作の映画)
3.6
「わたしは最悪。」(2021)のヨアキム・トリアー監督作。ジャケ写から勝手に近未来SFだと思ってたけど、ぜんぜん違うじゃん。

女の子の成長物語をスリラー調に描くという変化球演出が面白かったですね。
超常現象とか全部メタファーとして見てもいいのかも。テルマの超能力は葛藤の現われですもんね。罪の象徴としてヘビとか分かりやすいし。

大学入学を機に都会に出てきた信心深いおぼこな少女が、当たり前のように世俗を知っていく。抑圧的な親への忠誠心によって、罪(と思い込んできたこと=同性愛)を遠ざけなきゃと葛藤するとき、てんかんのような発作が起きて超常現象が出現する。

彼女の超能力は人の生存に影響するほど強い。それは抑圧の強さの反動なのでしょう。これまで両親の教えや信仰が、彼女の若さや可能性を徹底的に押しつぶそうとしてきた。それをはねのけようと闘う物語。若い女性の自立への道のりがこんなに苦しいものだと北欧映画で言われちゃうとは驚きです。
でも最後の父親との対決、親を乗り越えて前に進むという描写が想像の斜め上をいくもので、この強すぎる強さ(トートロジーすんまへん)はかの国らしいかと。あのシーン大好きって言ったら人外すぎですかね。母親への贖罪もちゃっちゃと果たしてホント呆気にとられたわー。

なにしろテルマ役のエイリ・ハーボーが瑞々しくてステキ。最初はモッサリした印象だったのが都会の生活に慣れてきてどんどん美しくなっていく!女の子って本当に楽しい!キャンメイク東京!って感じ好き。
ぽん

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