おさかなはフィッシュ

女体渦巻島のおさかなはフィッシュのレビュー・感想・評価

女体渦巻島(1960年製作の映画)
3.0
思ったよりずっとまともな映画だった。島が舞台ということで、海と空を生かした画作り。閉鎖空間ですっかり狂い切るということもなく、殺しは夜、取引もほぼ日が落ちてからというまっとうな感覚。
マダムがライフル持ち出すのも、ドレスにストールか毛皮のコートという出で立ちでお願いしたかった。きっちり革のジャケットを着込んで参上。いや、TPOをわきまえるのは大変結構だけれど、そういうところ本当にまともなのよ……。

男とマダムの悲恋が一応の軸だけれど、殺し屋との男同士のライバル関係につい傾きがち。腕試しのシーンとかめちゃ生き生きしている。撃ち合い、取っ組み合いしている方が楽しいよね〜。
ついでに、同じシーンの「ツイてねえなぁ〜」も微笑ましい。状況説明、お色気も忘れず、そして裏切りからの死闘と、ジャンル映画のノルマをこなすのに結構テキパキ進むんだけれど、たまにふっと力の抜けるひと時がある。そういうシーンを観るのが楽しみ。

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あらすじを読んで面白そう!と思って鑑賞。沙村みを感じる。「東洋のカサブランカ・対馬」はいいとして、「悪徳と汚濁にまみれていた」とか怒られそう。「香港、シンガポール、……」など輸出先を振り分けるシーンがツボ。どうやって決めているのか。

タイトルも語感好き(?)の私にどストライク。声に出して読みたい日本語「女体渦巻島」。シナモンロールかよ〜。ぐーるぐる。

組織の首領役の俳優さんがステキだな、オールバックにおヒゲが似合っている、天知茂さんというのか、……など調べていると、三島由紀夫や澁澤龍彦もファンだったらしい。分かる〜、かっこいいよね!