純

リラの門の純のレビュー・感想・評価

リラの門(1957年製作の映画)
4.5
ろくでなしと蔑まされてきた男と、人でなしと恐れられてきた男。役に立てること、優しくしてもらえることが、ふたりには純粋に嬉しかった。ただそれだけだったはずなのに。

中身がない関係性であっても、気にかけていたいというその気持ちだけで繋がっていた。街で一番素直な形をしていた、彼らの絆。じょうろから秘密の花に水やりをするように、ジュジュが彼に身体を洗わせてあげる場面を見て、わたしはひとと生きるってなんてやさしくて心強いことなんだろうと、本当に胸が熱かった。こんな風に毎日を重ねていけたら、きっとどんな夜も寂しくない。

あなたがこれまでお人好しなほどに他人に優しさを配っていたのは、あのたった1日を許さないためにあったのかもしれないね。
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