Qちゃん

ゴジラのQちゃんのレビュー・感想・評価

ゴジラ(1954年製作の映画)
4.4
記念すべきゴジラ1作目。オリジナル。初めて観た。

これは、、凄い。。
これまで観て来たゴジラというものを忘れるようにしてプレーンな状態で観るようにしてみたが、本当にこれ、本作公開当時はどんだけ衝撃的だったか心中察する。

東宝ロゴ入る前にのっけから「賛助 海上保安庁」から来て少し笑ったが、その後の重み。。その他の昭和シリーズからは全く考えられないほどの超シリアス。

オープニングから鳥肌。黒背景に白抜きの墨文字で「ゴジラ」の文字、そこに轟くゴジラの咆哮。続く、あの重々しいゴジラのテーマ。

かなり昔NHKで、ゴジラシリーズの音響担当であり、あのゴジラのテーマと鳴き声を作った伊福部さんのドキュメンタリー観た時のコメントを思い出した。

はじめ伊福部さんは映像を見せてもらえず、怪獣の声を作っておけと言われて恐竜っぽいものをイメージして作っていたが、造形・特撮担当の円谷プロと本多監督が周りに見せず製作し続けたゴジラの映像を初めて観せられた時、「これは大変なものを見た。。完全に作り直さないと」と汗かいたそうだ。そしてできたのが、コントラバスの音を逆再生した、あの独特の咆哮と、事態の深刻さをそのまま反映したような重厚なテーマ曲だった。

ゴジラの初登場シーンも鳥肌が立った。溜めに溜めてから勿体ぶって出すハリウッド版と違い、多少の痕跡の後に、日常を覆うかのようにガッと急に姿を見せるゴジラ。人々との大きさの対比と、頭部だけだったのがその巨大さと造形の禍々しさを際立たせていて恐ろしい。

「せっかく長崎の原爆から命拾いした大切な体なんだもの」「そろそろ疎開先でも探すかな」「また疎開か。。嫌だなぁ」
そんな会話が普通に出てくるほど、まだ原爆投下も戦争も生々しい現実だった時代に、この映画。この問いかけ方。ものすごい衝撃的。

人類にとって危険な事は分かっていても、
動物学者だからゴジラを殺したくない。
兵器使用の可能性があっても、
科学者だから研究を手放せない。

そして、そんな人たちを批判し、反対しても、いざ惨状を目の当たりにすると、対策としてその利用を請う。

ただただゴジラのもたらす恐怖を描くだけでなく、水爆などの兵器自体の恐ろしさとその脅威的な影響力、没価値に陥る有識人や政治家をはじめとする全ての人類への警鐘、戦後の日本も安寧の地ではないという再認識を促すなど、本当に最後の最後まで、今でも十分に考えさせられる重々しいテーマが多分に詰め込まれた傑作になっている。
Qちゃん

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