マーくんパパ

阿修羅のごとくのマーくんパパのレビュー・感想・評価

阿修羅のごとく(2003年製作の映画)
4.0
向田邦子原作の4姉妹家族2年の軌跡。70歳の父(仲代達矢)に愛人がいることがわかり、老いた母(八千草薫)が知ったら可哀想と気を揉む姉妹達。身内の恥と父を罵る姉妹たちだが4姉妹にもそれぞれに抱えた事情が…。夫に先立たれ華道教室をしてる長女(大竹しのぶ)は料理屋の亭主と不倫中。次女(黒木瞳)は夫と秘書の浮気気配にヤキモキしてる。三女(深津理絵)は地味過ぎて持てない図書館司書だが父の興信所調査を依頼した男に見染められ、四女(深田恭子)は有望ボクサーと出来ちゃった婚するが彼の身体に異変が…。親から受けた愛情の濃淡や性格の違いでお互いに僻みや嫉みもある姉妹とそんな波風どこ吹く風と平穏に暮らす両親。人間どんなに近しい家族の中でも隠し事の一つや二つはある、それを吹き流すか責め立てるのかを等分にコミカルに描き分けている原作が何より秀逸。その他にも寝取られ料理屋の妻・桃井かおり、父の愛人シングルマザーには紺野美沙子、秘書に木村佳乃、次女夫婦の子供に長澤まさみと壮々たる女優陣を縦横無尽に操る森田芳光の演出捌きが気持ちいい。家族の波風をしたためた新聞投書主のオチで波紋が収縮する味わいも格別でした。