道人

かちこみ! ドラゴン・タイガー・ゲートの道人のレビュー・感想・評価

3.0
 一昔前の格ゲーの無国籍感(SNKの『龍虎の拳』とか)が懐かしい、パリバリのカンフー活劇。基本的にギャグと紙一重の大仰さなんだけど、その情緒的な回想シーンに素直に酔える私みたいな人間には結構しんみりくるシーンもあります(ジャングルジムは反則だよー。兄弟がジャングルジムを登る時のアングルとか、妙にしんみりくる)。

 ドニーさんは噂のロン毛がいろんな意味で爆発してて、弟と屋上で語らうシーンはいいシーンなんだけど、風が強くて顔の上半分がロン毛に覆われて「ニカッ」としたチャーミングな口元しか出ていないので思わず噴いてしまいました(笑)。でもあらゆるものを吹き飛ばすごっつい掌底は格好いいですよ。

 一番好きなキャラクターはショーン・ユー演じるターボ・セック。自分の弱さを乗り越えるための修行がいつしか「張り子の虎」としての箔をつけるためだけのものに堕していたことに気づき、ウォン師匠に「あなたにサンダルで叩かれたことは俺にとってかけがえのない武勇伝」と言うシーンにグッときました。

 ターボ・セックのヌンチャクアクションがまた格好良くて。ケイ師の元で修行を積んだ後のダブルヌンチャクの高速の技「ゴールデンマスク」の金色の鐘の幻影をまとって攻防一体の突撃がもう「RB餓狼伝説」で持ちキャラだったホンフゥの「爆発ゴロー」を思い出して燃える燃える(笑)。

 いじめられっ子だった自分との決別のため、また迫力を出すため自分の顔に傷をつけた(そして人に会うたびにその傷にまつわる武勇伝を話すんだけど、その場のノリで全部違う)過去も含め、ターボ好きだなぁ。龍虎門の「豹」となった彼きっと、誰よりも弱い者の気持ちがわかる「強い男」になってゆくことでしょう。

 ラスボス・シブミ(気功をマントに通した感じの布アクションが格好いい)と死闘を繰り広げる龍虎門のウォン・ホンロン師匠がまたいい味出してて、青龍偃月刀アクションも凄まじいんだけど、演じるユン・ワーはかの七小福の一人なんですね。やっぱりカンフー映画には格好いい達人おじさんがいないとな!

【2017.05.08 テレビ観賞(日本語吹き替え版)】
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