おさむちゃん

プリピャチのおさむちゃんのレビュー・感想・評価

プリピャチ(1999年製作の映画)
3.7
チェルノブイリから近いプリピャチ川に由来する街。
ドニエプル川(耳にしたのは歴史の授業以来)に合流する。

原発以降ゴーストタウンと化してしまったが、そこで生活を選択する人もいた。
チェルノブイリ原発の4号機は勿論石棺だが、3号機は稼働しており、働いてる人もいる。

「いのちのたべかた」の監督のドキュメントで非常に淡々と日常を描く。眠気を誘発させられた。

映画から放射能の恐怖は全く見えないが、そこに生活していた人達や生活してる人に何らかの影を落としているのは想像に難くない。

生まれも育ちもプリピャチの老夫婦は死ぬのもプリピャチがいいという。
自分は住めば都蝶々なので、そういった郷愁が全くないのだが、いずれ芽生えてゆくものなのだろうか…

原発での食事は無料だが、給与の支払いはないという。
闇。

放射能に恐怖を覚えながらも生まれ育った土地への愛着と葛藤するご婦人。


放射能に対しては「分からない」という印象が強い。
様々な情報が錯綜し、危惧される事と同じ事が起こるかと言うとそうでもないが、
線量の高い場所に長時間いるとヤバいってのは分かった。風吹けば危険度も変わると。
人智を超えている。
生きていれば確実なものが確実にある訳ではないが、生と死の選択をする時には知識と知恵と感覚と事実を行使して生を選んでゆきたい。

殆ど対岸の火事で見ていたが、いやいや日本の現状もこれと変わらないというかより悲惨なのではなかろうか。どうなんだろう。
知るきっかけとしては意義のあるドキュメンタリーとも言える。
ただ日常を描くのに全編白黒で映すのは多少作為的なものを感じて好みではなかった。

原発作業員は昼からステーキを食べていた。それだけはいいなと思った。
老夫婦はキノコをお薦めしてくれたけど、ロシアンのほんとかどうかの際どいジョークはパンチが効き過ぎている。
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