アーリー

怒りのキューバのアーリーのレビュー・感想・評価

怒りのキューバ(1964年製作の映画)
4.8
2023.9.16

キューバ産でソ連が支援して作られた国策映画。キューバ革命前夜を様々な立場の人からオムニバス形式で描いていく。

とんでもない熱量の作品。国民よ、革命の火を灯せ!みたいな。東側の目線で、西側の支配者を倒すお話は初めて観たかも。それだけでも凄い価値がある。私はキューバ。キューバという国を形作る一つの構成要素として私たちは生きている。あなたもキューバなんだよってことかな。制作が1964年ごろ?とにかくキューバ危機の後。対アメリカを想定したキューバの人々へのプロパガンダ作品。

まず撮影技法。ロングショットが多いし、かつその中でのカメラの動き方が尋常じゃない。棺を持って民衆が歩くシーン。通りを埋め尽くすほどの人を集めてる。その様子をカメラが追いかけるけど、建物から建物へ移動するし、最後は上昇して彼らを映す。技法に関して全然詳しくはないけど、それでもこの時代でこんなことが可能なんかと思わせるぐらい凄い。基本俳優を真っ直ぐではなく斜めの角度から撮ってるし、その上斜めだから出来る空間にちゃんと建物とかが入るよう計算されてる。サトウキビ畑を燃やすところとか絶対熱いし、かつ撮り直しが出来ひんレベルで燃やしてる。演者たちの熱演もあってがつんと喰らわされた感覚。なかなかこんな熱量の作品はない。

お金をかければこの時代でもこんな凄いのが作れる。国策として作られた事実をどう受け止めたら良いのかわからないけど、映画的にもそして歴史的にも重要で価値のある作品やった。
 
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