シネラー

機動警察パトレイバー THE MOVIEのシネラーのレビュー・感想・評価

4.5
押井守監督が手掛けた
人気シリーズの劇場版だが、
今まで全くのシリーズ未鑑賞。
事前に初期OVAである
"アーリーデイズ"を予習しての初鑑賞。
現代にも通じる物語の設定が面白く、
鑑賞後に続けて鑑賞してしまう位に
好きな内容だった。

レイバー暴走事件を追う
特車二課の物語が展開されるが、
劇中で登場人物や世界観
の説明はされていく為、
シリーズの初心者であっても
問題ない内容となっていた。
89年というパソコンも普及していない
時代で、コンピューターのOSを題材
にしたサスペンスを描けた事には、
先見の明があったと言わざるを得ない。
パトレイバーの戦闘シーンは
限られたものではあるが、
そのレイバーの部品や細部が描写される
戦闘描写は凄いと思った。
"方舟"へ突入するカメラワークとBGM
は高揚感を抱かせる好きな場面だった。

その事件の黒幕である帆場暎一だが、
劇中冒頭で既に死亡している
姿なき犯人であり、
その動機や行動に関して大いに考察の
余地がある人物で魅力的だ。
新しい物や媒体に頼っていく事で
今まで頼っていた物を過去の物として
風化させていく人々を嘲笑い、
自身の才覚を試してみたくなったのか..
帆場の人間性については考えが尽きなかった。

エンタメ性も高く、
決して硬派で哲学的な押井守監督作で
はないので、
純粋に楽しめる作品だと感じられた。
近いうちに劇場版2は鑑賞しようと思った。
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