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機動警察パトレイバー THE MOVIEのawのネタバレレビュー・内容・結末

4.8

このレビューはネタバレを含みます

アニメ映画って凄い、
と思わせてくれた作品。

1989年の映画ですが、未だにマイベストアニメ映画です。
2位以下を大きくぶっちぎって。

VHS、DVD、Blu-rayなど各種媒体で
何度も何度も見ています。
ホント大好き。

いろいろイイポイントがあるんですが、
何よりも犯人が魅力的である点。
そしてこの犯人、犯罪と警官の構図が面白い。

犯人はコンピュータウィルスにより東京を壊滅させるという大犯罪を仕掛ける。
犯人の動機は古き良き東京を守ること(見せる)
という大犯罪を犯す理由・動機にスジが通っており無理がありません。

そしてこの作品の一番のポイントが
「犯人は冒頭で東京湾に身投げしている」
こと。

この時点で
犯人を捕まえて犯罪を阻止する
という構図は成り立ちません。

犯人が計画した犯罪は既に動き出しているが、
誰もそれに気付いていない。
それに気付いたのは僅かな落ちこぼれ警察官。
その落ちこぼれたちがいかに犯罪を止めるか。
この構図・見せ方が僕には強烈なインパクトがありました。

また、犯人は身投げをしただけで
「死体は上がらなかった」
という点もいいところ。

この点が後半でちゃんと効いてきます。
(IDプレートの情報から方舟最上階にいるかもしれないってやつ。
実際は冒頭のシーンでカラスの脚がキラリと光るので...)

この犯人、古き良き東京を転々と引越し、
自らの足跡を辿る警察官に見せたかったものを見せていくことまで計算してます。

松井刑事が言う
「見せたかったんじゃないかな」
ってやつ、
私たちはまんまと見させられましたし(笑

犯人はIDプレートを付けたカラスに、
嵐が来たら最上階のサブコントロールに行かせるよう
仕込んでいたに違いなく、
その結果、警官が最上階に来て
方舟を破壊する。
そこまで計算していたに違いないと思ってます。

ということで、結局、
犯人の目的は達成してるのです。
この作品では。

なのに犯罪を阻止した感に包まれるエンディング。
なんなんでしょう。



次は音楽。
川井憲次さんの音楽がイイ。
場面に合った音楽が実にいい。

松井刑事達のシーンで流れる曲は
アニメでこういう音楽使うのかと感心しましたし、
方舟への突入シーンの曲や
方舟内を最上階に向かうアルフォンスのバックで流れる曲(途中の強いぞ零式含む)
も好き。
エンディング曲もこれぞエンディング!って感じで最高です。

登場人物たちも魅力的ですし、
セリフも無駄がなくまとめられます。

映像も綺麗。
特に失われていく東京の絵は眼を見張るものがありました。
他にも魚眼レンズっぽい構図が入ったりして新鮮ですし、
冒頭の樹海での戦闘シーンも
スタッフ紹介とカット割り、そこにあの音楽が重なり非常にカッコいい仕上がりになってます。

うー。

他にも語りたい点はいーっぱいあるんですが、
とりあえずこの辺で。

難点は、現在や初期OVA版を見るなどして
キャラクターをある程度知っておく必要があること。
特にOVA版を見ていないと「香貫花クランシー」が出てきた時に「?」ってなるんじゃないかと。

この点以外は最高点です。
ですが、全くの初見で見ても楽しめる映画なんじゃないかなと思います。

まずは一度見てもらいたい。
そして繰り返し見てもらいたい。

そんな作品です。
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