生涯独身を貫いている老科学者が、アパートの隣部屋に居住する若い娘(ジェーン・バーキン)を節穴からのぞき見てしまう。ヒッピー・ムーブメントの影響下で製作された、イギリス産のサイケデリック映画。
インド音楽に傾倒するようになったジョージ・ハリスンが劇中音楽を担当。マジメな研究に没入している老科学者が、欲動に合わせて流れ出すドラッギーな音楽に誘われながら、幻想空間の追求へと路線変更していくところが、ギャグ要素となっている。
老科学者の言動がユーモア満点に描かれているため、ジェーン・バーキンのPV感覚が良い意味で薄められている。また、晩年期の江戸川乱歩、谷崎潤一郎、川端康成とも通じるものがあるため、老科学者の佇まいに哀感が備わっている。
製作当時のサイケデリック・カルチャーが映像に凝縮されており、ボヘミアン・スタイルの女優陣がコケティッシュ&ミステリアスなフレーバーをまぶしてくる。プロジェクターを利用した爆音上映の環境が最適。