<概説>
不衛生な髭を剃ったことでむさ苦しい男の人生が輝きだす。彼をめぐった三人の恋物語は、はてさていかな転がり方を見せるのか。小津安二郎によるサイレント喜劇。
<感想>
小津映画を小津映画とまとめたらいけませんね。
いよいよ初期作品を鑑賞してついに痛感しました。
普段私達がイメージする彼の映画は、言ってしまえば後期小津映画。それらは人生観が成熟しきっているがために、初期作品は比較対象としてはどうもシンプルが過ぎます。
といってもこれ単品で見ればそう悪いものでもなく。
1930年代前半映画はこういったシンプルなものこそが評価されたもの。後々の名作を製作する地位固めのためには、小津監督にとってもこうした大衆的な作品の方が重要だったのかも。
諸手を挙げて賞賛できるほどの小津の大傑作とは言いませんけれども、同時代の娯楽映画としては見る価値のある作品だと思います。