バナバナ

女の子ものがたりのバナバナのレビュー・感想・評価

女の子ものがたり(2009年製作の映画)
3.8
私と西原さんは歳が近く同世代なのだが、私は子供の頃長屋に住んでいたし、友達もアパートや団地に住んでいる子が多く、一戸建ての家に住んでる子の方が少なかったので、映画の前半の様に、性格ではなく貧乏かどうかでここまでイジメられたりする?と、少々腑に落ちなかった。

当時はうちも、客観的に見たら貧しい家だったのだろうが、自分は中流だと思っていた。別にフツーの家だと。
同じ世代でも、地方は土地を持ってる人は大きい家に住んでいただろうし、都会よりもシビアだったのかもしれない。

小学生時代の菜都美、きみこ、みさは、皆貧しいながらも、三人一緒の時は明るく過ごしていた。
しかし、既にその当時から心の中では、
「私たちは本気で、大人になったら幸せにはなれないと思っていた」と考えていたのである。
(「私たちは失敗したコケシみたいな顔」とも言っているのに、子役が森迫永依以外は、劇団ではなく児童モデルを採用したと思われる、美形過ぎるところがネック)

高校生になった彼女達は、皆別々の制服を着ているので学校は違うのだろうが、それでも三人は常に一緒である。
高校生になっても、自分の通う学校では心開ける友達が出来なかった、という事か(西原さんは、高校を飲酒で退学させられたという話だが、それはこの友達絡みの事件だったのかな?)。

そして歳若くして結婚する、きいちゃんとミサ。
きいちゃんは高校生の頃から、付き合った彼氏に顔を殴られていたし、「あいつは、きいちゃんを彼女にするつもりなんかないで」と言っていたミサも、今ではきいちゃんと変わらないような男を選んでいる。

しかし、菜都美だけは「気付かないフリをして生きていくのは嫌だ。それは恥ずかしい事だ」と強く思っている。
そこが、二人とは違う。
東京へ出たばかりのまだ歳の若かった西原さんが、エロ雑誌に自らイラストを持ち込んで仕事を獲得していけたのも、影の部分から目を背けず、前へ進もうとする強さがあったから出来た事なのだろう。

私の小学生時代に、夜逃げして、突然消えた友達が二人居る(二人とも女の子だった)。
彼女たちは、今幸せに暮らしているのだろうか。
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