中学生くらいの頃、テレビで初めて観た。内容はおぼろげながらも、40年近くたっても、その時に受けた衝撃と、ジェルソミーナの奏でる切なくも美しいメロディは忘れがたいものだった。
この悲しく救いのない寓話のようなお話を、10代はじめの私はどう感じたのか、詳しく知りたい気持ちになった。でも、きっと何か言語化できるようなものではないのだろう。理解を超えた感情が生まれて、それが傷のように残ったのだと思う。まだ自分が知らない、人生ということ、生きるということを教えてくれた映画だった。こうして今でも映画を好きでいる、そのきっかけをくれたうちのひとつだと思う。
このたび、40年ぶりくらいに再鑑賞。若く幼い頃のような感動はなかったが、語り継がれる名作であることは確かだと思った。愚かな女、愚かな男、善にも悪にもなれる天使、悲しく救いのないお話をフィルムにおさめる神・フェリーニ。完璧な映画だと思う。ただ、今の私からすると、好きと思える映画ではなかったな(そんな予感は少しあったけど)。