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道のMovingMoviesのレビュー・感想・評価

(1954年製作の映画)
4.0
【三回の決断と三人の死】
死んでしまったローザの代わりに、旅芸人のザンパノに買われジェルソミーナは旅芸人を始める。自分はザンパノの妻なのか、芸の助手というだけなのか。
ベルイマンの『魔術師』も旅芸人の物語で、定住せず馬車で町から町を移動する人々は街の住人から見下されたりもする。映画作家や音楽家のような芸術家をひきつける題材なのかな。
ジェルソミーナは本作中いったい何度「ザンパノ」と呼んだことだろう。ザンパノが「ジェルソミーナ」と呼ぶのは、芸の最中ばかりだ。切ない。
「ザンパノは考えない」とくりかえしジェルソミーナに言われていた。自分も考えないタイプなのでギクリとする、ザンパノのような鎖をちぎる厚い胸板はないのだけれど。
ひとの深いところに残る映画と思いました。