かすとり体力

県警対組織暴力のかすとり体力のレビュー・感想・評価

県警対組織暴力(1975年製作の映画)
3.8
以前どなたかの『虎狼の血』のレビューで名前を目にし、深作欣二監督初期作品(一つも観たことない)だったのと、そのタイトルの圧倒的なインパクトにずっと気になっていたもの。
(タイトルのインパクトでは個人的に『トマホーク ガンマンvs食人族』に並んだ笑)

「ヤクザと警察ドロドロもの」ということで、確かに『虎狼の血』と環境設定は似ているものの、空気感は全然違う。

なんというか本作の空気感は、昭和の広島におけるヤクザと警察のエコシステムが真空パックされているような、圧倒的にクローズドな感じ。
この雰囲気がまず至高。

この空気感の中で、菅原文太演じる刑事の久能と、松方弘樹演じる若頭の広谷、この2人の熱いブラザーフッドを巡る悲劇、というのが本作のメインテーマ。(ブラザーフッドというと言葉として軽すぎるか。。ドロッドロの愛憎関係ですね)

あと、とにかくびっくりするのが、この時代・このジャンルの作品における役者陣の濃さよ。上記の2人はもとより、他の役者も貫禄しかねぇ…。梅宮辰夫の劇中の年齢が31歳と知って驚愕。どう見ても50歳超えてるだろ。。

多分今の時代では作品化不可能なレベルの「男同士の関係性」が描かれていて(女性の扱い等々ポリコレ的な意味合いで完全アウト)、こういった類の胸熱感はこの時代の作品でしか味わえないよなと感じた次第。

お話の内容としてもかなり練られている印象で、純粋に面白く観れるのも良い。

これはちょっと『仁義なき戦い』とか観らんといかんですな、という思いを強くしました。
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