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夕なぎのmayのネタバレレビュー・内容・結末

夕なぎ(1972年製作の映画)
2.0

このレビューはネタバレを含みます

魅力的な女性であるロザリーをめぐって、2人の男が彼女を取り合う、というおはなし、だったはずなのに、2人の男のあいだに友情のようなものが生まれていく。

お金を稼ぐ能力があって、みんなを笑わせたりすることに長けているおじいちゃん、と言ってもいい年齢の男と、ロザリーと同年代の、芸術的才能のある男。前者は嫉妬深くて、ロザリーに執着するような男で、後者は、静かに見守るようにロザリーを愛するような男、男たちは正反対な性質を備えているように見える、

あんなにばちばちにロザリーを取り合っていたのに、いつのまにか、男2人の距離が近くなり、やがて、ロザリーを置き去りにして、ふたりで魚釣りに行ったりするようになる。ホモソーシャル的な関係性を築いていき、いつしか、ロザリーが疎外されていく。

疎外されたロザリーは、2人の前から姿を消す。

男たちふたりは愛する人を失ったという傷を共有して、ロザリーが消えてから2年後、ふたりで暮らそうなどと言い出す。そんなときに、ロザリーが2人の元に帰ってくる。ロザリーがにっこり笑って門を開けたところで映画は終わる。

ロザリーは、これから、男2人とともに暮らすつもりなのだろうか、なぜ戻ってきたのだろうか。ホモソーシャルに女が疎外されていく状況も、なんだかむむむと思ったけれど、戻ってきて、ふたりのうちどちらかを選ぶつもりもなさそうなところに、なんだか、哀しくなったしまった。ハッピーエンドな結末のように描かれていたけれど、わたしにとってはグロテスクに思えた。女は、疎外されて、2人を選ぶこともせず、最後はにっこり笑ってすべてを許さなければならない、のだろうか、
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