三樹夫

ジャッカルの日の三樹夫のレビュー・感想・評価

ジャッカルの日(1973年製作の映画)
4.1
アルジェリアを解放したシャルル・ド・ゴール大統領を暗殺する為に過激派右翼軍事組織OASは国籍も正体も不明のプロの殺し屋を雇った。一方フランス政府側も情報をキャッチし、殺し屋VSフランス政府の戦いが描かれる激渋骨太映画となっている。
ジャッカルが契約してから暗殺実行に至るまでの過程を綿密に描き、まるでジャッカルに終始密着してドキュメンタリー撮影をしているかのような、所謂ドキュメンタリータッチの作品だ。また秘密裏に暗殺を阻止せんとするフランス政府側も、陣頭指揮をとる警視に密着した警察24時のような映像となっており、全編通して骨太のドキュメンタリータッチが貫かれている。OASが送り込んだくのいちスパイや、すごい特殊な狙撃銃を制作するガンスミスなどのプロたちの仕事ぷりもこの映画の楽しさを高めている。

冒頭、シャルル・ド・ゴール大統領暗殺失敗からジャッカルを雇うまでかなりテンポよく話が進む。銀行強盗でもして金用意すればと言われればOASが次のカットで銀行を次々襲っているという具合にポンポン話が進む。
そしてジャッカルが雇われてからは暗殺に至るまでの事前準備と行程が、1から10までと言ってもいいくらい余すところなく骨太に描かれる。ただし劇中走っているシトロエンやアルファロメオなどのレトロカーのデザインや舞台がフランスということもあり、またジャッカルが雲のジュウザみたいなハンサムヘアースタイルにスカーフを巻いているなど、骨太でヒリヒリする空気に包まれていながらもオシャレな雰囲気が漂っている。エドワード・フォックスがデヴィッド・ボウイに似ているし。しかしジャッカルは女も男も必要があれば利用して、都合が悪くなればいとも簡単に殺すハードボイルド色悪だ。この非情さも作品の骨太な雰囲気に寄与している。
対してジャッカルを追う警視はそこら辺にいるおっさんみたいなさえない風体だがすごく頭が切れジャッカルに迫っていく。ジャッカルに迫っていく警視に、追跡をかわし暗殺を実行しようとするジャッカルの、有能対有能の戦いが繰り広げられ見入る。
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