Itsuki

荒野のストレンジャーのItsukiのレビュー・感想・評価

荒野のストレンジャー(1972年製作の映画)
3.8
名無しの流れ者。果たして彼は天使か悪魔か。

何処からともなく穏やかな山に囲まれた小さな町ラーゴにやって来た"ある男"。
かつて保安官をムチで殴り殺し、町を恐怖に陥れた3人の悪党が出所されることを知った町民達は、男に用心棒として町を救ってくれと懇願する。
気前のいい町長は「町のものなら何でもタダだ」と男を歓迎するが、男は気を使うはずもなく、服や銃、酒を楽しみ、町の人に分け与えた。
しかし、そんな男の豪遊ぶりに店の経営者や、歓迎していたのに男にクビにされられた町長や保安官は苛立ちを覚え始めていた。
そんなラーゴに3人の悪党は着々と迫ってくるのだが...

オープニングを観た僕は、「流れ者が保安官殺しをした3人組を圧倒的なガンスキルでやっつける感じね!」と思ってたらびっくり!
これは西部劇の皮を被ったホラー映画だ!!

しかも、こんなに考察したくなる映画だと思っていなかった!


【⚠️ここから先はネタバレを含みます!】
情報を入れたくない方はご注意下さい!

最初こそ「行き過ぎてるけど、男気に溢れたいい男」だなと思っていたけど、ラストを迎えてみると、とにかく奇妙な男だった...

名前を名乗らず、言葉数は少なく何を考えているのかわからない雰囲気に異常なガンスキル。
3人の悪党を向かい入れる為の準備として、町にある全ての建築物を赤いペンキで塗らせ、町の看板の「ラーゴ」という文字の上にペンキで「HELL」という文字を上塗りさせたり...

彼の前に雇われた迷惑な用心棒達を銃殺したことから一部の町民から歓迎され、英雄視されている理由もわからなくもないが、彼を批判する人の気持ちも分かりすぎるからこそ、「正義」とは何なのかがわからなくなってくる。

個人的なアンサーとして彼の正体は「悪魔」だと思っています。
ムチで殴り殺された保安官は死に際に自分を殴り殺した3人と、ただ黙っていた町民達に対して「地獄に堕ちろ」と発言。
町にやってきた名無しの男は初めて町にやってきたにも関わらず、一切迷いのない足取りや雰囲気を醸し出しており、自分の町のことにも関わらず、男を追い出そうとする人々に対して顔色ひとつ変えずに残酷なことをすることから男の正体は保安官の亡霊、もしくは彼が生み出した悪魔なのではないでしょうか?

他にも皆さんの中で違う考察があれば、ぜひコメントで教えてください!

【鑑賞回数:1】
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