イトウモ

荒野のストレンジャーのイトウモのレビュー・感想・評価

荒野のストレンジャー(1972年製作の映画)
3.8
面白いけれど、なんとなく消化不良なのはヒッチコックがいうところの「サスペンス」ではなく、「サプライズ」の映画ではないか。
(机の下に爆弾があって、それがいつ爆発するのかハラハラするのがサスペンス。突然爆弾が爆発するのがサプライズという話)

アクションが決闘でも戦闘でもなく、基本的に暗闇からの不意打ちである。

戦前の西部劇が、父親的な保安官に守られた小さな共同体の話だとすれば、
この集落は、金融業者に牛耳られた商店街の店長たちで、金融業者が雇ったヤクザに脅されて暮らしている。
名前のない流れものの男が保安官の代わりになって、一時的に金融業者とヤクザを皆殺しにし、名前も名乗らずにいなくなる。

「用心棒」の亜種だけど、もっとニヒルだと思う。
後期資本主義経済としての西部劇。仁義なき戦い的西部劇