このレビューはネタバレを含みます
近年熱い宗教ホラーの原点とも言える本作。カルトものの総本家にふさわしい、圧巻の迫力でした。
何より、映像美が圧巻。これだけの規模の儀式を見せてくれただけでも大満足です。崩れ落ちるウィッカーマンの背後に輝く夕陽が綺麗。
主人公の警部さんは敬虔なクリスチャンな訳だけど、島の風習を毛嫌いしています。ここらへんの感覚は、キリスト教徒にしかわからない感覚なのかも。自分には、警部さんの方が偏狭な様に感じられました。それにしても、村人たちに全くと言っていいほど悪意が感じられないのが怖い。
村の宗教はサマーアイル卿の祖父が復活させたものだそうです。実際、「伝統行事」の大半が近代に生み出されたものらしいですしね。見方を変えれば、サマーアイル卿の一族が司祭として村を支配するために宗教を利用している、ということになるのかな。どんなに生け贄を捧げても作物が実らなくなった時、彼の王国は崩壊するのでしょうか。