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フォーリング・ダウンのnewのレビュー・感想・評価

フォーリング・ダウン(1993年製作の映画)
4.0
D-フェンス”と名乗る男がいた。非常に厳格で几帳面な上に、自分の価値観をハッキリと持った彼が、ある日突然、渋滞する道路に車を乗り捨てると歩きはじめた。別れた妻の元にいる幼い娘に電話をするために、両替してもらおうと入ったコンビニエンス・ストア。そこで邪険にされたことから、彼の怒りは爆発。些細な出来事は、やがて市民を震え上がらせる事件に発展していく。

積み重なる怒りと開放。
いやーこれは怖い。社会で生活しているならば、誰しもが感じるようなストレスからどんどん怒りが募っていく感覚が凄まじい。何が凄いって、登場する人物の殆どがストレスの要因になるような見ているだけでイライラする様な奴らばっかり。主人公と同様に視聴者側のフラストレーションもどんどん溜まっていく。ちょっとやり過ぎかなって感じることもあるけど、そんな不満だらけのムカつく社会を主人公がぶっ壊すようで、恐ろしいと感じながらもスカッとする自分もいる。
本作は、人間が社会に馴染むうちに忘れた怒りの開放を描いているのだと思う。楽しそうに暴力的なアニメを見ながら水鉄砲を撃ちまくる娘やバズーカの爆発で喜ぶ少年などの描写があるが、社会に染まっていない子供の方が無邪気に怒りを発散しており、人間の理性ではなく本能的な部分が持つ本来の姿なのかなと思わせてくれる。勿論、それを肯定している作品なのではなく、どのようにストレス社会と付き合っていくのかに対する正解を、事件を追う刑事を通して描いているのもおもしろい。
マイケル・ダグラスの演技が光っていた。
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