マヒロ

オー!のマヒロのレビュー・感想・評価

オー!(1968年製作の映画)
2.5
かつてはスターレーサーだったが、ある事故をきっかけに落ちぶれ犯罪者の逃がし屋をやっているオラン(ジャン=ポール・ベルモンド)は、自分を雇うギャングのボスが銃の暴発で死んだことをきっかけに、その後釜を狙い始める……というお話。

『オー!』というタイトルからなんとなく楽しげな印象を受けて観てみたが、そこは『冒険者たち』や『追想』のロベール・アンリコ監督らしく、楽しいシーンもありつつどこか苦味の残る作品だった。
(感嘆詞みたいなタイトルだけど、単に主人公のニックネームが“オー”なだけ)

全体的に、主人公オランのキャラが最後までブレていて、それに伴い映画のトーンも定まらず最後まで何となくピンとこない印象。クールな奴かと思ったら急にイキリ出すし、お調子者のようで突然メソメソしだすし、二面性があるというよりはなんかよく分からん奴という感じ。ジャン=ポール・ベルモンドの所作とか雰囲気は流石の格好良さなんだけど、キャラクター設計で失敗しているような。
裏社会に足を踏み入れた男の成り上がりと衰退までを描いているが、その成り上がりについても新聞がやたら騒ぎ立てているくらいでそこまで大きなことを成し遂げているようなところは見られず、その浮き沈みがいまいち実感できない。最後のシーンでのある人物の死の描写もなんだか適当で、かなり重要な場面のはずなのに流されてしまっている感じが勿体ない。

総じて、面白くなりそうという予感は常に漂いつつも、常に期待値をギリギリ超えてこないもどかしさの残る作品だった。

(2022.200)
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